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食事制限と睡眠不足と過食の関係2

[2023.07.13]

こんにちは。

こころの健康クリニック芝大門で、受診相談と摂食障害の対人関係療法を担当している精神保健福祉士・公認心理師のウエハタです。

 

 

前回のブログでは食事制限と栄養状態と睡眠の関係についてお伝えしました。

簡単にまとめると、食事制限と睡眠不足は食欲増進ホルモンであるグレリンを増やし、過食が起こりやすい状態を作る。そして、グレリンの増加はオレキシンを増加させ覚醒状態を作り、睡眠不足や睡眠リズムの乱れなどの影響を及ぼすという負のスパイラスが起こってしまうという内容でした。

よろしければ、もう一度読んでみてくださいね。

食事制限と睡眠不足と過食の関係

今回は、この負のスパイラスから抜け出すためのヒントをお伝えしたいと思います。

 

睡眠のリズムを整えるために

私たちには体内時計が備わっています。これは、概日リズムと言われるもので、約1日(25~26時間)の周期で刻む生理現象(睡眠-覚醒、体温、代謝、ホルモン分泌など)の変動のことです。このリズムが崩れると健康に深刻な影響を及ぼします。

そのなかでも睡眠覚醒に関わるホルモンがコルチゾールとメラトニンです。

 

メラトニンは睡眠や覚醒のリズムを調節するホルモンで、起床してから14時間後に分泌されはじめ眠りを促し、明け方には減少して目覚めを促すということは前回のブログでもお伝えしましたね。

 

コルチゾールはストレスがかかった時にも分泌されるホルモンですが、起床時にもその分泌が高まり、朝の目覚めを促す1日のリズムをつくっています。規則正しい生活をしていると、起きる前からコルチゾールが分泌され、それが全身に行き渡り、自然と気持ち良く目覚めることができるのです。

 

コルチゾールは朝日を浴びることで分泌されます。メラトニンは朝日を浴びることで減少します。概日リズムが崩れ気味の方は、起きる時間を一定にして朝日を浴びることで、本来の睡眠覚醒リズムを取り戻すことができるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ビーマルワン

睡眠覚醒リズムが整うともう一つうれしい効果があります。

ビーマルワンというホルモンをご存じでしょうか。これは、脂肪を合成し溜め込むタンパク質です。ビーマルワンはメラトニンと同じようなリズムで分泌されているので、起床後しばらくは減少し、約7時間後に最も少なくなり、14時間後から4時間ほど(6時に起床した場合、22時ごろから2時頃)が最も増えます。

一方、コルチゾールは糖代謝を高め、昼の活動のエネルギーを確保してくれます。

 

つまり、睡眠覚醒リズムが整うと、日中はビーマルワンが減ってコルチゾールが増えるというリズムも整うため、日中に食事をしても太りにくくなるということなのです。深夜の食事は太りやすいと聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、それもこういった科学的根拠があってのことなのですよ。

 

そして、これらのホルモンはタンパク質や脂質を材料として作られているため、バランスの悪い食事や食事制限などをして栄養が偏ってしまうとホルモンをうまく作れなくなってしまいます。

 

栄養状態と睡眠のリズムを整えることは、摂食障害の治療に安心して取り組むための土台になることがお分かりいただけたでしょうか。

 

もちろん、何らかの病気によって睡眠がうまく取れなくなっている方もいらっしゃいますから、起床時間を一定にするとか、寝る前にスマホやPCを見ないようにするなどの工夫をしてもなかなか改善されない場合は、睡眠外来に相談することも一つの方法かもしれませんね。

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