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過食や過食嘔吐から回復するために魂を気遣う

[2023.02.13]

こころの健康クリニック芝大門では、過食や過食嘔吐の治療を行っています。

 

摂食障害の場合、過食や過食嘔吐、あるいは自己誘発嘔吐などの症状が初発となる場合もありますが、ダイエットからの拒食期を経て、過食や過食嘔吐などの症状が出てくることが多いようです。

 

過食や過食嘔吐を手放すためにどうしたらいいかを、京都府精神保健福祉センター「心の健康のためのサービスガイド」の摂食障害の項目の中にある過食症の経過という図をみながら考えてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイエット(食事制限)と病前期

まず「病前期」。

自信のなさを背景にして「やせれば自信がつくかもしれない」と考え、無理をしてダイエットに取り組んでいる時期です。

 

思ったように成績が上がらないこと、好きな人に認めてもらいたいこと、人と比べて劣等感を感じること、など、さまざまな自信のなさを解消するために、なぜかダイエットにのめり込みます。

心が感じる「評価(ジャッジメント)」は、身体の見た目が解決してくれるという「誤った認識」が摂食障害のスタートになるのです。

 

本来、「評価(アセスメント)」は客観的に分析することですが、摂食障害思考が行う「評価」は、良い/悪い、正しい/間違い、好き/嫌い、快/不快などの「ジャッジメント(決めつけ)」であり、曖昧な状態に耐えられない「白黒思考」や「完璧主義」と関連があるためにダイエットにのめり込む行動が生じると考えられています。

 

ダイエットにのめり込み、病的な痩せが進行すると、多くの人が高揚感を感じ自信を取り戻せたと感じます。

高揚感と感じた気分の高まりは、「飢餓症候群」でみられる心理・行動異常の一つです。

「飢餓症候群」では、周囲の人から言われる外見についての記述にしかすぎない「痩せたね」という言葉を、「素敵になった」「頑張った」「それでいい」という承認やジャッジメントと誤って捉える「認知機能障害」が進行していきます。

 

このようなことを説明すると、【「環境要因ではなく自己のストレス耐性がないこと」のように書いてあり、語弊を生むと思う。過食嘔吐で苦しむ人を不快にする書き方は改めたほうがいいと思った】と、「ジャッジメント(批判)」を書かれた方もいらっしゃいます。

ここで説明しているような一般論を読んで、もし否定されたように感じて不快になったらそれは、「ジャッジメント(決めつけ)」のフィルターがかかっている状態だと気づき、「ジャッジメント(決めつけ)」をいったん脇におくことが自分の課題なのかもしれないなぁと考えてくださいね。

 

さて、話を戻して。

次第に体重が減らなくなって、イライラしたり不安になったり、また飢餓状態が進行することで身体はエネルギーの消費を極端に抑えようとして、倦怠感が強くなります。

これが「拒食期前期」で、そのようなタイミングで「身体が目を覚ます」のです。

 

飢餓状態への反撃:身体が目を覚ます

身体的な危機である飢餓症候群に対して、身体はダイエットするという意思を無視し、大食・過食という方法(飢餓過食)でエネルギーを確保し、何とか生き延びようとします。

痩せることに固執する認知と、生き延びようとする身体との闘いが起きるのです。

 

老人が、過去にあった悲しい出来事への思いを孫息子に話していました。老人は言いました。

「まるで、心の中にオオカミが二匹いて戦っているようだ。一匹は、復讐心に燃えて、怒りに震え、狂暴だ。もう一匹は、愛情深くて、思いやりがある」。

そこで孫息子が聞きました。

「心の中で戦いに勝つのはどっちさ?」。

老人は答えました。

「自分が餌をやったほうだ」

コスティン、グラブ『摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

 

「過食期後期」で起きてくる思い通りにならない慢性化した過食や過食嘔吐に対して、ほとんどの人が罪責感や自責感、不安焦燥や気分の落ち込み(抑うつ感)が強くなります。

また、外出しにくくなって引きこもるようになったり、焦燥感が強くなって周囲に当たってしまうこともあります。

 

魂に栄養を与える

上記のアメリカ先住民に伝わる物語を、もう一度読んでみてください。

痩せることに固執する認知と、生き延びるために過食しようとする身体。

どちらが「復讐心に燃えて、怒りに震え、狂暴」な部分で、どちらが「愛情深くて、思いやりがある」部分なのでしょうか?

どちらが「摂食障害の部分」で、どちらが「健康な部分」なのでしょうか?

 

このような時期に医療機関を受診すると、不安焦燥や気分の落ち込み(抑うつ感)に対して、間違いなく抗うつ薬が処方されます。あるいは過食や嘔吐衝動に対して、効果はほとんど無いのですが、抗てんかん薬や、場合によっては制吐薬が処方されることがあるようです。

 

抗うつ薬や抗てんかん薬、制吐薬などは、痩せることに固執する認知と、生き延びようとする身体の、どちらを手助けしようとしているのでしょうか?

 

そんな中で唯一、回復への道のりに踏み出すには「覚悟」することが必要だと、【あかね@摂食障害相談室】の「【摂食障害克服の鍵】「痩せたい」「食べるのが怖い」でも「治ることも怖い」から抜け出すために」に解説してあります。

 

「覚悟」することは、『8つの秘訣』では、「魂の部分に栄養を与えて力をつける」と説明してあります。

 

魂の部分は、大事な事柄を上手に注目し、批判せず、結果に固執しないのです。

こうした性質ですので、魂の部分は、周りからの批判や評価には影響されず、物事の在り方にも固執しません。体重計の数値は気にしませんし、体型はこうでなければといった先入観もありません。

魂の部分の概念がなかなかとらえにくいのは、あなたの中には自我も存在し、ありのままにとらえようという視点や、この世で自然なままにいようとする姿勢を妨げるからです。

(中略)

Moore(1992)によれば、魂は虐げられると、ただ追い込まれるのではなく、依存、抑うつ、何もかもが無意味に思える感じ、その他の症状として表れてきます。

魂を気遣うということは、問題を繕って、病を癒すのとは異なり、今この瞬間をありありと体験して、注意を向け、ありのままに人生を生き、魂そのものに備わった神聖さと豊かさと価値を認めることです。

魂を気遣えるようになると、いままでは必要だと感じていた過食、拒食、嘔吐、目標体重を達成するといった事柄が、意味を失っていくのです。

コスティン、グラブ『摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

 

魂に栄養を与えるということは、人生に意味をもたらすことです。

 

魂に栄養を与え、「摂食障害の部分」と「健康な部分」の戦いを終わらせることです。

摂食障害から回復することについては【あかね@摂食障害相談室】の「「克服した先を想像できない人へ」|イメージすることで回復を助ける【摂食障害完治】5つの状態」で解説してありますので、参照にしてみてくださいね。

 

院長

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