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食べ物との関係を意識してみる

[2016.02.15]
イギリスのレスターのグループは、対人関係療法に食事日記や行動記録などの認知行動療法の要素を組み込んだ「修正版-対人関係療法」による治療を行ったところ、8回以下で過食(むちゃ食い)や自己誘発嘔吐が大幅に減少し、食に関するゆがんだ認知や対人機能だけでなく、抑うつスコアの有意な改善がみられた、と報告しています。 彼らは過食を主とする症候群からの回復には
感情受容と調節スキル 自己志向的認知(自己受容) 食事摂取方法(栄養回復)
の3つが必要と結論づけています。   『8つの秘訣』でも食べ物との関係、とくに食べ方に注意を払うように勧めています。
意識した食べ方とは、あなたにとっても、あなたと食べものとの関係にとっても、究極の目標といえるでしょう。 この場合の「意識した」とは、知識と気づきを使ってという意味です。 意識した食べ方を実践しているときには、身体から伝わってくるシグナルへの気づきに特に注意しながら、栄養の知識を導入し、個人的な健康にかかわる要素も考慮して、心から楽しめる食べ物を食べます。 (中略) 意識した食べ方は、何かと制限の多い食べ物の決まりや摂食障害の混乱した振る舞いなどの代わりになる力強い考え方です。 意識的に食べていると、いつ、何を、どのくらい食べるかを決めやすくなり、最終的に食べ物とも身体とも健康的な関係を築くことができるようになるのです。 摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店
「意識した食べ方」ができるようになるためには、「身体からのシグナル(内受容感覚)」に自覚的になる必要があります。 しかし摂食障害からの回復過程で身体からのシグナルに意識を向けると、何かわからない不快、困惑、不安などとして体験され、どう名づけていいかわからない精神状態になってしまいます。 ですから食べ始めると止められない感じがしたり、胃の中に食べ物があることが不快に感じられたりして そのような不快感の一時的な解消のために摂食障害症状を使ったりしてしまいますよね。 とくにダイエットや拒食期からの回復時の過食については、『ダイエットや拒食からの回復期の過食~満腹感と嘔吐への対処』や『ダイエットや拒食からの回復期の過食~肥満感と向き合う』で説明しましたので、参照してくださいね。   『8つの秘訣』では食事日記や空腹感の尺度のワークに加え、満腹感と空腹感への気づきを高めるためにマインドフルネスを勧めています。 『8つの秘訣』では、ここで摂食障害からの回復を明らかにします。
「回復した」とは、ありのままの体重と体型を受け容れることができ、身体に害を及ぼすような食べ方や運動をしなくなったときのことです。 「回復した」ときには、食べ物や体重はあなたの生活の中で重要な位置を占めることはなくなり、体重はあなたの存在そのものよりも価値のあるものではなくなっています。 体重計が示す数値などは、まったく意味を持たなくなるか、持ったとしても参考程度でしょう。 体重と体重測定へのこだわりを手放すことをこの5つ目の秘訣に含めたのは、それが、あなたがこれから食べ物とのつきあい方を上手に変えていけるかどうかを左右するほど重要だからです。 摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店
摂食障害は、体重を減らしたいことや体型不満が原因ではなく、本来、人との関係を潤滑に進めていくための方略だった食行動が、こだわり(固執)や気分解消のツールとして取って代わられた結果なのです。 ここから『8つの秘訣』はいよいよ摂食障害行動をひとつひとつ変えていくための方法という、対人関係療法では扱わないことになっている領域に入っていきます。 次週以降、詳しく見ていきましょう。 院長
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