過食嘔吐を止めて!
「過食嘔吐を何とか止めてください」とすがる思い出クリニックを受診される患者さんは少なくありません。
私もかつて同じような気持ちを経験しました。特に、拒食期から過食期へ移行したばかりの頃は、身体が暴走し、自分でも何が起こっているのか理解できないような状態でした。
例えば、1枚で止めようと口にしたクッキーも、1膳で終わりにしようと食べ始めたご飯も、一口何かを食べ始めてしまうと、もうそこからは目の前から食べ物がなくなるまで、もしくはお腹がはちきれそうになって動けなくなるまで食べるという行動を止めることができませんでした。それは本当に怖かったし、そんな自分が無力で惨めで哀しかった…。
今この文章を読んでくださっているあなたも、もしかしたらこの時の私と同じ状況にいるのかもしれません。とても怖いしつらいし、苦しいよね。そんなあなたが、昨日という一日を生き延びてくださったこと、そして今日という一日を迎えてくださったことに、心からありがとうと言いたい。生きていてくださって、本当にありがとう。
私は今日を生き延びてくれたあなたに教えてほしい。そんな苦しい中にいるあなたは、どうやって一日を生き延びてきたんだろう。光さえ見失いそうな中、どうやってその一歩を踏み出したの?私はそれがどんなに勇気のあることなのか、決してたやすいことではなかっただろうと、あなたに伝えたい。それはまさに、あなたの持つ「生きる力」なんだよ。
「生きたいと思って生きてきたわけじゃない」という人もいるかもしれない。そうだね、そうかもしれない。そんな人にももう少しだけ聞いてほしい。例えば今までこんなことはなかったかな。誰かを見て羨ましいとか、自分もそうだったらよかったのにと感じたこと。一度くらいはあるんじゃないかな。それって、あなたの本当の心の叫びなんじゃないかなって思うの。テレビや雑誌のモデルさんを見て、こんな風にきれいで細くなりたいと思ったかもしれない。街ですれ違った仲の良さそうな親子を見て、とげとげした気持ちになったかもしれない。友達の投稿した写真を見て落ち込んだかもしれない。何かや誰かと比べてあなたの心が刺激されるのは、その中にあなたの心が本当に求めるものが隠れているからじゃないのかなあ。例えばテレビや雑誌に出てくるステキな人はたくさんいると思うけれど、あなたが惹かれるのは美人なら誰でもいい、痩せていれば誰でもいいというわけではないんじゃないかな。きっとあなたは、それだけじゃないその人の魅力に気づいているからステキだなって思うんじゃないかな。そして、あなた自身が「そうなりたい」という気持ちを持っているってことじゃないかなって思うの。きっとあなたの心は知っているんだよね。自分がどうなりたいのか、本当に望んでいるものが何なのかを。
少し話を戻すとね、過食嘔吐を止めるには、食べ物から一旦離れることが大切なの。そんなこと無理っていう声が聞こえてきそうだけれど、でも信じてほしい。食べないようにしようしようと考えれば考えるほど、結局は食べ物のことを考えてしまっていない?お酒の大好きなお父さんが、翌朝ゴルフの日はお酒も飲まずに早く寝る、なんていう話を聞いたことないかな?それに似ています。
あなたの心が本当に望むことは何ですか?それを妨げるものは何ですか?
そんな話を一緒にできたらなと思っています。