摂食障害症状に隠された意味を理解する
[2017.03.21]
3月から4月にかけての変化の時期は、卒業式、終業式、送別会、お花見、歓迎会、入学式など、何かと会食の機会も多く、摂食障害の患者さんにとっては、会食の場で過食せずにいられるかどうか、新しい環境や対人関係でやっていけるかどうか、不安で気が重くなる時期ですよね。
摂食障害から回復する過程あるいは回復した後、良好な社会適応をしている患者の6割が、進路や家族や友人との対人関係に直面し不安を感じたり、自分の無力感を感じて抑うつ状態を呈していたと報告されており、このような状況が摂食障害の再発や再燃につながる可能性が示唆されています。
これは『8つの秘訣』の「摂食障害から回復する10の段階」のうち
8. 行動からも思考からも解放されているときが多いが、常にというわけではない。に相当するようですね。 摂食障害のもっとも奥まったところにある「無力感」や「不全感」あるいは「空虚感」をきちんと理解することが、摂食障害からの回復には必要不可欠ということですよね。
- ストレスがたまると、思考や行動が戻ってくる。
- 水着を着たのをきっかけに症状がもどってきた。
- ダイエット特集などが気になる。
- 健康のために健康的な食事や運動をしたいと思う。
乱れた食行動の克服において重要なのは、抵抗があってもそれを非難するのではなく、抵抗の背景に潜んでいる理由を探るなど、ある意味、抵抗を尊重することです。 克服を遅らせ、症状を長引かせ、克服の道のりの障害となっているように見える行動でも、何か裏に重要な意味や意図が隠されている、ということをしっかりと理解しなければなりません。 ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店「抵抗を尊重する」「裏に隠されている重要な意味や意図を理解する」ということは、摂食障害行動は対処できない数々の問題から、あるいはこれから直面するであろう不安や、過去に経験した心の痛みから、気をそらしたり見ないようにしてくれる、ということを理解することです。 摂食障害行動は、「気をそらし(拒食)・気持ちを麻痺させ(過食)・無かったこと(嘔吐)」にしてくれますが、問題そのものが解決されたわけではないのです。 この部分をしっかり理解すること、つまり感情の解消を優先するのではなく、課題を優先することに取り組むことが、摂食障害症状(乱れた食行動)からの開放と摂食障害からの回復につながります。
この依存から解放されたくてたまらない女性たちは、飽くことなき食欲や不完全な自分の体型を忌み嫌っています。 それは、感じている飢えのすべてが身体的なものだと勘違いしているからです。 ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店「無力感」や「不全感」あるいは「空虚感」は、どんな力が必要で、どんな行動をすればよくて、何が足りないのかを指し示してくれていることを理解する必要があるということですよね。 そのプロセスを進んでいくことで、
「回復した」ときには、食べ物や体重はあなたの生活の中で重要な位置を占めるものではなくなり、体重はあなたの存在そのものよりも価値のあるものではなくなっています。 コスティン他『摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店食べ物や体型、体重よりも、自分にとって大切な目標、大切な人間関係、やること、やりたいことが見つかるようになることが、摂食障害からの回復ということですよね。 院長