人とのつながり
最近いろいろなところで「コロナストレス」や「コロナ鬱」といった言葉を耳にするようになりましたよね。そして様々な分野の専門家が「人とのつながりを大切に」とか「一人でため込まずに人に話しましょう」とアドバイスされています。
その一方で、「電話やオンラインでつながっても結局愚痴や不安を言い合うだけで、かえってストレスが溜まってしまった」という話もお聞きします。
私は、人が生きていくために「人とのつながり」を感じることはとても大切なことだと思っています。ただ電話やオンラインだけが人とのつながりを感じる手段ではないと思います。また、そういった手段がかえって孤独を深めてしまうこともあるかもしれません。まずは「このような状況だったら誰もが不安に感じるよね」と一度立ち止まり、そのまま受け止めることが大切だと思うのです。そのうえで、雲のような不安という“思考”に振り回されず、自分が今心配していることは何なのか、そのためには何をするか、を具体的に考えていくことが重要ではないでしょうか。
5月13日にアップされた院長ブログ「新型コロナウイルスと摂食障害」の中には、「8つの秘訣」の著者であるキャロライン・コスティンさんが創設されたモンテ・ニードのサイトからこんな言葉が引用されていましたね。「自己隔離はセルフケアを止めることはできない;COVID危機のうちに魂の世話をしましょう」と。私は、こんなことも「魂の世話」の一つではないかと思っています。
例えば、あなたが今身に着けているもの、目にしているもの、触れているもの、口にしているもの、耳にしているもの、そういったものすべてが、顔も名前も知らない誰かが一生懸命作ったり育てたりしてくれたものではないでしょうか。さらには、それを運んでくれた人もいるでしょう。販売してくれた人もいるでしょう。調理してくれた人もいるでしょう。きれいにしてくれた人もいるでしょう。
自分の身の回りを一つひとつ見渡してみれば、私たちの生活はまさに多くの人や生命に溢れていることに気づかされるのではないでしょうか。そういう思いを抱きながら、例えば床やお鍋を磨いてみる、一口一口味わっていただいてみる。
今まであまり意識せずにやっていたことに意識を向けて丁寧に取り組んでみると、あなたの生命も私の生命もたくさんの生命に救われていることを実感できるのではないでしょうか。人とつながるということは、他者だけでなく自分自身とつながるということでもあるのです。
あなたには今日も、たくさんの生命が寄り添っています。