摂食障害から回復した時の私の1日
「摂食障害から回復するための8つの秘訣」の秘訣1の中で、“回復したときの私の1日”をノートに書き出してみるというワークがあります。
今日は、当時私がノートに書いた1日を振り返ってみたいと思います。
<平日>
6:00 気分良くすっきり目覚める。顔のむくみもなくて肌の調子もいい。
6:30 好きな音楽を聴きながらゆっくり朝ごはん。
7:30 好きな服を着て仕事に出かける。途中でお気に入りのカフェに寄り、コーヒーを飲みながら英語の勉強。
8:30 仕事開始。やる気があって仕事が楽しい。
18:30 満たされた気持ちで帰宅。
19:30 家族と一緒に夕ご飯。家で作ってもいいし、外で食べてもいい。今日あったこと、将来の夢、週末の予定とか、楽しいおしゃべりをしながら。
21:30 ゆっくり入浴。好きなアロマオイルを入れて。
22:30 ベッドへ。ぐっすり眠れる。
<休日>
いつも通りの時間に起きる。身体が軽い。
歌の練習を終えてから美術館に行く。
美術館のカフェでランチ。その後買い物へ。
自分らしい服、自分が着たいと思う洋服を買う。
行きたいお店、行きたいところにいつでも行ける。ダイエットはいらない。
夕食は家族と一緒に行きたかったお店へ。ゆったりした気分でその時間を味わう。
こうして改めて見てみると、当時それほど深く考えて書いた訳ではない未来のスケジュールが、ほとんど今実現していることに私自身とても驚きました。
これを書いた当時、私は休職中でした。仕事はしたいと考えていましたが医師を続けるかどうかは自分でも決めかねていました。
ただ、摂食障害から完全に回復したとき、自分が何か好きな仕事をしているということを想像しながら書きました。それほど具体的な内容ではないかもしれませんが、回復した時の自分のなりたい姿をイメージしたことは、その後の治療にとてもプラスに働きました。
治療中なかなか回復していると感じられない時にはやはり「私は治らないのではないか」という不安が強くなりました。生野先生にも、確か3度ほど「私は治るのでしょうか」と尋ねたことがありました。その度に先生は「治るかどうかじゃなく、治りたいかどうかですよ。」と仰いました。
そして私は不安な気持ちが高まる度に、もうこのまま治らなくてもいいのではないかという考えが浮かぶ度に、ノートの1ページ目に書いた「回復した時の私の1日」を読み返し、自分の姿をイメージするようになりました。
これを何度も繰り返していくと、ノートを見なくてもなりたい自分のイメージがすっと湧くようになって、それが回復の道を歩む私を力強く後押ししてくれたような気がします。
生野院長のブログの「過食や過食嘔吐から回復したある日」という記事の中でも触れられていますが、摂食障害から回復した状態について伺うと、多くの人が「過食や過食嘔吐をしない」「普通に食事が摂れる」など、症状がなくなることが目標だと話されます。
けれども、「症状がなくなった」自分を具体的にイメージしようとしたとき、あなたの頭の中には何が浮かんでくるでしょうか。「過食をしない」「普通に食事が摂れる」といった目標が、かなり漠然としたものだということに気が付いたでしょうか。ですから、病気から完全に回復したときの自分の姿を具体的にイメージしてもらうために、「どんなふうに1日を過ごしているのか」とお聞きしているのです。
私自身の経験を振り返ると、回復した時の自分の姿をイメージするということは、どんな言葉よりも強力な支えとなり、光となり、私を導いてくれました。そのイメージが私の進むべき道を照らしてくれたからです。
ですから、今はまだ具体的にイメージできないという人も、自分の心に正直になって想像してみてほしいのです。「〇〇でなければならない」や「こんなこと無理かもしれない」という考えは一旦横に置いてみましょう。できるかどうかではなく、したいかどうかが重要です。
そうやって想像してみると、あなたの心がうきうきしたり、楽しく思えたり、しっくりくる感じだったりしてきませんか?頭で考えるのではなく、本当になりたい自分の姿を心で感じてみませんか?