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強迫性障害

強迫性障害とは

強迫性障害とは「強い不安やこだわり、不快感(強迫観念)があり、それらを取りのぞくため行為(強迫行為)が止められない精神的な病気」です。

たとえば、「自分のからだは不潔ではないか」と過剰に感じる恐怖や不安が原因で、何度も入浴やシャワーを繰り返します。気づくと何時間も繰り返しているとなるため、日常生活に支障が出るのです。

また強迫性障害は、家族や友人など周囲の方を無意識のうちに巻き込むため、関係性が悪化する場合があります。

強迫性障害の患者さまは100人に1〜2人とされています。誰しもがなる可能性があり、決してめずらしい病気ではありません。また病院に受診していない方もいると考えられ、患者さまはさらに増加するかもしれません。

強迫性障害は、適切な治療によりをすることで症状の改善が期待できます。

不安やこだわりが強く毎日の生活に支障をきたしている方や症状が気になる方は、専門家への受診が大切です。

強迫性障害の原因

強迫性障害の原因は完全にはわかっていません。

現在の医療では「遺伝要因」や「環境要因」など、不安やストレスが関係していると考えられています。不安やストレスに対し、脳の不安を処理する機能が過剰に反応し、コントロールできなくなる状態に陥ることが要因と考えられてます。

「遺伝要因」と「環境要因」について以下に例をあげます。

遺伝要因

強迫性障害を発症した時期が幼少期や思春期である場合は、遺伝による影響の可能性があります。

ただし、両親が強迫性障害であっても、すべてのお子さまが同じように発症するわけではありません。

環境要因

強迫性障害の環境要因は以下のとおりです。

  • 日常生活でのストレスを溜めやすい
  • 物事に対し、柔軟性が低くこだわりが強い
  • 責任感が強い
  • 不満を感じることが多い
  • ストレスを溜め込みやすい

また、身体的な虐待やネグレクトなどのトラウマ(心的外傷)となり得る体験も強迫性障害を引き起こす要因です。

強迫性障害の症状

主に「強迫観念」と「強迫行為」の2つが主な症状です。

強迫観念 理にかなわいとわかっているにもかかわらずやめることができない頭のなかで浮かぶ不快な考えやイメージのこと
強迫行為 自分で意味がないとわかっているものの不快な感情を打ち消すために何度も繰り返すこと

ここでは、強迫性障害の主な5つの症状を見ていきましょう。

それぞれの症状をくわしく解説するため、ぜひ参考にしてください。

汚染恐怖と洗浄

汚れに対する必要以上の不安や恐怖で、清潔にするためのを保つための行為に過度に固執する状態を「汚染恐怖」といいます。具体的な症状を見てみましょう。

  • 自分自身が「不潔」と強く思い込み、手洗いや入浴を繰り返す
  • 自分の過ごす空間が「汚れている」と感じ、除菌や掃除がやめられない
  • ドアノブや電車の手すりなど「汚い」と感じる場所に近づけなくなる

このように「きれいじゃない」と感じる場所に近づけなくなります。何時間も掃除や手洗いや入浴などに時間を使い、学校や仕事へ行けなくなることがあります。

加害恐怖

自分が事件や事故を起こすなど「許されないことをしているかもしれない」という心配や不安、恐怖にとらわれる状態が「加害恐怖」です。

実際には、とくに問題を起こしていないにもかかわらず、常に「大丈夫か?」と心配になる状態です。

具体例は以下のとおりです。

  • 「自分がしたことで人を傷つけるのではないか」と考える
  • 「卑猥な行為や常識外の行動をしてしまうかも」と感じる
  • 自分の行動に対して許されない過ちを犯してないかと確認する

自分が関与したとされる事件や事故が実際に起こっていないか、身近な人だけでなく警察にまで確認することもあります。

不完全恐怖

実際はそうではないのに何かが完璧でないと感じるときに、過剰な不快感や不安を感じてしまう状態を「不完全恐怖」といいます。

患者さまが全く自覚していない場合も多いといわれています。具体例は以下のとおりです。

  • 環境や物事に対して「しっくりこない」「違和感がある」と感じる
  • 整理整頓がやめられない、必要以上に掃除を繰り返す

不完全なことへの執着から、結果的に同じようなことを繰り返し行います。

確認行為

「ちゃんと切ったかな?」とガスの元栓や電気のスイッチを何度も確認します。また「本当に閉めたっけ?締めてなくてドロボーが入ったらどうしよう」と戸締まりを繰り返しチェックします。これだけなら、一般人でも起こりえるかもしれません。

ですが、強迫性障害の方は外出ができなくなったり、学校に行けなくなったりするなどの影響があらわれます。長時間の目視での確認や、触ってみるなど方法を変えて何度も確認します。

数字へのこだわり

不吉な数字や、縁起がいい数字などへの過剰なこだわりが見られます。

その他、強迫性障害に関連する病気について説明しますしていきます。

ため込み障害 「物がなくなるってしまう」という気持ちが高まり物を手放せない
身体醜形(しゅうけい)障害 「自分はみにくい」と強く信じこむ
抜毛症 毛を抜きたい衝動を制御できない
皮膚むしり症 肌をかきむしる、爪をかむ、かさぶたをはがすなどがやめられない

強迫性障害により引き起こされる問題

また強迫性障害により引き起こされる代表的な問題は以下のとおりです。

(1)うつ病の合併

強迫観念と強迫行為が毎日続くと、ストレスを感じ精神的な疲労が溜まるでしょう。
そのためストレスが原因で、うつ病や睡眠障害などほかの精神的な健康問題を発症する方もいます。

またアルコールや、ギャンブルなどから抜け出せなくなる方も珍しくありません。強迫性障害ではうつ病やそのほかの病気の管理も必要です。

(2)回避行動の出現

回避行動」とは、強迫行為が出る可能性がある場所や状況を意識的に避けることを指します。たとえば、学校や職場などを避けます。

このような回避行動が続くと、日々の生活を送ったり、学校や会社に行ったりなどの社会生活を送ることが難しくなるでしょう。

(3)周囲の巻き込み

家族や友人などを知らないうちに強迫行為に巻き込んでしまうなど症状をコントロールできなくなる恐れがあります。

例として「汚れが落とせているか不安なため家族に入浴の見守りを依頼する」「自分の行動が大丈夫か周囲に何度も確認すること」などがあげられます。

このようなことから人間関係のトラブルが生じる可能性があります。そのため、似た状況に遭遇することへの恐怖が生まれて、さらに回避行動が強まるかもしれません。

強迫性障害の診断基準

アメリカ精神医学会が定めるDSM-5があります。この基準をもとに、専門医が実際に患者さまへの問診や診察を行います。

  • 「どのような強迫観念、強迫症状が起きているのか」
  • 「どのように日常生活に影響が出ているか」
  • 「どのくらい症状に抵抗できているか」

患者さまの状態を詳しく把握し、治療に役立てます。問診のみで診断するのが一般的です。

ただし、脳の病気や発達の病気、ほかにもアルコールや薬物などの影響やなどが疑われるときにはMRIやCTなど追加の画像検査も一緒に実施することがあります。

強迫性障害の治療法

強迫性障害の主な治療は​​、薬物療法および認知行動療法です。

薬物療法では、おもにうつ病の患者さまが使う選択的セロトニン再取り組み阻害薬(SSRI)を使用します。

抑うつが強い患者さま、もしくは症状が重い患者さまには、抗精神病薬や抗不安薬を追加する場合もあります。まずは、薬物療法を優先して症状の安定を目指します。

薬物療法と認知行動療法の併用が治療の基本です。

認知行動療法では、暴露反応妨害法が代表的で「症状が起こる原因となる場所やできごとなどにあえて立ち向かいます。それを繰り返すことで少しずつ不安や恐怖に慣らしていく方法」です。

ここで、実際におこなわれている暴露反応妨害法の一例を3ステップで紹介します。

汚いと感じる手すりを触る 強迫観念を引き起こすように行動する
手を洗わないようにする 「不安を解決したい」と考える強迫行為を我慢する
そのまま手を洗わず外出する 恐怖を放っておく練習をする

これにより、患者さま自身で「恐れている結果にならない」ということ、「不安を解消する行為をしなくても不安は自然と軽減される」ということを体験します。

この成功体験が、再発防止につながります。

あえて、避けてきたことに立ち向かうため治療内容に対しては十分な理解が必要です。必ず医師の判断のもと慎重に行うことが大切です。

ただし、治療を始めたからといってすぐに症状が軽くなるわけではありません。少しずつしかよくならなかったり、良くなっても再び悪化する可能性があります。

とくに、症状が重いときには無理をせずに、まずは薬を調整し症状を安定させます。

上記以外の治療法として「TMS治療」があります。TMS治療とは、専用の機器を使用して脳の一部分を刺激する治療法です。

日本ではうつ病のみ保険適応が認められている治療法ですが、アメリカFDAにおいては強迫障害への治療も認可がおりています。

強迫性障害に対してのTMS治療は、自費診療です。当院は、TMS治療における専門クリニックである「東京横浜TMSクリニック」を運営しており、一つの治療選択肢として検討いただくことが可能です。遠慮なくご相談くださいませ。

強迫性障害かもしれないと思われた方へ

強迫性障害は、過度な不安や恐怖から日常生活に支障をきたす病気です。しかし、適切な治療をすることで症状の緩和が期待できます。

おひとりで悩まず「強迫観念かもしれない」「手を洗うのが止められない」などにお困りの方は、お気軽にご相談ください。

執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

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